うちの子がかわいく見えるクマ
『TANTOGUSTO(タントグスト)』
- ネットショップ: http://www.tanto-gusto.jp
- ブログ: http://tantogusto.blog27.fc2.com
たまご塾第一期生
洋裁の講師の経験を生かして、何かをしたい という気持ちが出発点
はじめに今のお仕事について、教えてくださいますか?
タントグストという名前のクマのぬいぐるみを作って、ネットショップで売っています。
息子が小さいころ喘息だったもので、いつでも洗えて安全なぬいぐるみがほしいと思い、タオル地で作ったのがこのぬいぐるみの原型です。
なぜ、起業しよう思ったのですか?
出産までは洋裁の講師をしていました。
洋裁の技術を使って何かをしたいと考え見つけたのが、某有名ブランドのエプロンの縫製の仕事でした。
1枚の縫製代が200円にも満たない金額で、それを子育てしながら1週間で40着縫ったら 、熱が出て・・・。
手にした報酬のほとんどが病院の治療費と薬代に消えてしまいました。
その時に、仕事をもらうのではなく、自分で作り出したいなと。
今振り返ってみると、あれが起業を意識した原点だったのではないかと思います。
最初はダンスの衣装で起業を考えられていましたよね。
はい。洋裁の技術を生かしたかったので、子ども服を作っているうちに、ダンスの先生とのご縁ができて、その先生から発表会の衣装を依頼されるようになっていました。
毎年注文が来て、多い時は140着くらい作っていました。
この仕事は注文にあわせて作ればいいので、在庫を持つ必要がありません。
それで 、ダンス衣装の製造・販売で起業を決意し、たまご塾に参加しました。
ダンス衣装ではなく、ぬいぐるみで起業をしたのはなぜですか?
ダンス衣装は先生の要望にあわせて作っていました。
先生に「もっとこうしたらどうか」と提案をして、受け入れてもらう醍醐味はありましたが、いずれにしても私の発想で作ったものではありません。
一方で、たまご塾で自分の事業の説明をする際、ダンス衣装ではなく、ぬいぐるみのことばかり話していることに気がつきました。ダンス衣装とぬいぐるみ、私はどちらがやりたいのか悩んだ結果、ぬいぐるみを選択しました。
100%オリジナルなものを扱えることが魅力でした。
手作りの作品から、商品へ
起業にあたって苦労したことはありましたか?
手作り作品と商品は違うので、商品化するのに苦労しました。
例えば、生地については、丸ごと洗えることが必須条件だったので、いろいろなタオル地でぬいぐるみを作り、何度も洗って、それでも型崩れしないか、肌触りはいいかなどを検討しました。
目や鼻などのパーツについても、以前はフェルトを貼っていたのですが、これだと子どもが取ってしまうんですね。
そこで試行錯誤を重ねた結果、刺繍でパッチワークをすることにしました。
刺繍の仕方もたくさんの方法を試しました。
起業前にお金をかけたことはありましたか?
商標登録と意匠登録をしたことと、文字が入れられる刺繍ミシンを買ったことですね。
手作りの商品ですから、同じ生地があればすぐに真似されてしまいます。
キャラクターを守るために、商標と意匠の登録は重要だということをたまご塾で教えてもらいましたので、すぐに弁理士さんのところに相談に行きました。
お金をかけて登録をしたことで、起業に対する私の決意もさらに固まったと思います。
刺繍ミシンは大きな出費でした。後でもいいのではないか、というアドバイスもいただきましたが、現在、名入れの注文が多いことを考えると、思い切って買って良かったです
起業の魅力、そして今後の展望
起業の魅力はどんなところにあると思いますか?
オリジナルのアイデアで自分の価値観が認められていることを実感しています。
自分が認められている、という喜びですね。
それから、「これでいいか」と妥協したことも、「これなら大丈夫!」と納得するまで考え抜いたことも、全て後で自分に戻ってきます。
起業というスタイルは、自分の生き方が試されていると思います。厳しいですが、楽しいですよ。
今後の展開を教えてください。
ネットショップを始めて1年目は、注文が来て、対応して、荷物を発送してという一連の作業に慣れることで精一杯でした。
2年目は、私1人でやっていた縫製を他の人に頼むことにして、スタッフの養成を始めました。
土台づくりの1年でしたね。
やっと今、土台が整ってきたので、これからはどんどん売っていきたいと思っています。
昨年、百貨店のイベントに何度か出店したところ、大人がご自分のために買っていくケースがとても多くて・・・。
イベントがあるたびに毎回来てくださる方や、全色揃えたいとおっしゃる方もいます。実際にお客さまと会って生の声に触れる場も大事だと感じたので、これからはネットショップだけでなくリアルな場所に出ていきたいですね。
商品の品ぞろえという点では、ぬいぐるみ以外のものも考えていて、現在、携帯ストラップがほぼ完成したところです。
今後は、マグカップやTシャツなども作って、キャラクター商品として展開したいと考えています。
(文:ライター 粕谷知美)